「カフェを開きたい。でも、厨房に何をそろえればいいのか分からない」

これは、これから開業するほとんどの方が最初にぶつかる壁です。コンロや冷蔵庫はイメージできても、製氷機の能力選定やコールドテーブルの配置まで考えが及ぶ人は多くありません。そして、ここでの選択ミスは「開業後に買い直し」という、最も避けたい出費に直結します。

このサイト「厨房ナビ」では、厨房設計の実務知見をもとに、初心者の方がムダな出費をせずに開業できるよう情報を整理しています。この記事では、カフェ開業に最低限必要な厨房機器の一覧それぞれの費用相場、そして失敗しない選び方を、できるだけ具体的にお伝えします。

読み終えるころには、「自分のカフェに何が、いくらくらい必要か」の全体像がつかめているはずです。

この記事でわかること

  • カフェ開業に最低限必要な厨房機器の一覧と費用相場
  • 機器ごとの「失敗しない選び方」のプロ視点
  • 新品・中古・リースのどれを選ぶべきかの判断軸
  • 小規模カフェ(10坪・15席)の厨房機器 費用シミュレーション



カフェに最低限必要な厨房機器リスト【一覧表】

まず全体像から。下の表が、一般的なカフェ(ドリンク+軽食・スイーツ提供)を想定した「最低限そろえたい厨房機器」の一覧です。価格帯は2026年6月時点の楽天市場・新品の実勢を目安にしています。

機器 役割 新品価格の目安 優先度
コールドテーブル(台下冷蔵庫) 作業台兼用の冷蔵。動線の中心 約12万〜25万円 ★★★ 必須
製氷機 アイスドリンク用の氷を自動製造 約20万〜28万円(35kg) ★★★ 必須
エスプレッソマシン ラテ・カプチーノなどの提供 業務用半自動 約15万円〜/全自動 約40万円〜 ★★★ 必須(カフェの主力)
コーヒーグラインダー 豆を挽く。味を左右する重要機器 約3万〜10万円 ★★★ 必須
業務用冷蔵庫(縦型) 食材・ドリンクのストック 約15万〜30万円 ★★☆ 規模次第
食器洗浄機 回転率と人件費を左右 約15万〜30万円 ★★☆ 席数次第
作業台・シンク 下ごしらえ・洗浄スペース 約2万〜8万円 ★★★ 必須
IH・ガスコンロ 軽食・温かいフード提供 約2万〜15万円 ★★☆ メニュー次第
冷蔵ショーケース スイーツ・ケーキの陳列販売 約8万〜20万円 ★☆☆ 業態次第

「全部そろえると数百万円かかるのでは」と不安になるかもしれませんが、心配は要りません。メニューと規模に応じて、本当に必要なものだけに絞れます。次の章で、特に選定ミスが起きやすい機器を順に解説します。



機器ごとの選び方とプロの視点

① コールドテーブル(台下冷蔵庫)|厨房動線の心臓部

コールドテーブルは、天板を作業台として使いながら、その下が冷蔵庫になっている機器です。カフェの厨房では「冷蔵庫を開ける→取り出す→その場で盛り付ける」という動作が一日に何百回も発生します。この機器の配置が、スタッフの動きやすさ=回転率を決めると言っても過言ではありません。

選び方のポイント

  • 幅で選ぶ:一般的なカフェなら幅1200mmが扱いやすい基準。狭小店舗なら900mm台もあります。
  • 奥行に注意:奥行450mmと600mmがあります。600mmは収納力が高い反面、厨房が狭いと通路を圧迫します。図面上で必ず確認を。
  • 冷蔵専用か冷凍冷蔵か:アイスやケーキの保管をするなら冷凍室付きを。

新品の実勢価格は、ホシザキやパナソニックの幅1200mmクラスで約17万〜19万円が目安です。信頼性を考えると、開業時は国内主要メーカーの新品をおすすめします。

② 製氷機|「能力選定」で最も失敗が多い機器

初心者が最も見落とすのが、製氷機の能力(1日あたりの製氷量)です。「足りなくて午後に氷が切れる」というトラブルは開業カフェで本当によく起きます。アイスコーヒーやフラペチーノ系が多いカフェは、想像以上に氷を消費します。

能力の目安(カフェの場合)

  • 小規模(〜20席):日産35kgクラスが基本。アンダーカウンタータイプなら省スペース。
  • アイスドリンク主力・夏に強い店:余裕をみて45kg以上を検討。

「氷は足りないと売上を逃すが、余る分にはロスがない」ため、迷ったらワンサイズ上が鉄則です。ホシザキの35kgアンダーカウンタータイプ(IM-35M-2など)が、楽天市場の新品で約24万〜28万円。カフェの定番機種です。

③ エスプレッソマシン|カフェの「主役」、予算配分の鍵

カフェの看板メニューであるラテ・カプチーノの品質を決めるのが、このエスプレッソマシンです。ここは「どこにこだわるか」で価格が大きく変わるポイントでもあります。

タイプ別の特徴

  • 半自動(セミオート):バリスタが抽出を操作するタイプ。味の表現幅が広く、本格派カフェ向け。業務用エントリーで約15万円〜。
  • 全自動:ボタン一つで安定した味。人手が少ない店やセルフ系に最適。約40万円〜と高価ですが、オペレーションが安定します。

開業時は「自分の店がバリスタの技術を売りにするのか、安定供給とオペレーション効率を取るのか」で選ぶのが正解です。コーヒーを主力にしないカフェなら、ここを抑えて他の機器に予算を回す判断もあります。

④ コーヒーグラインダー|マシン以上に味を左右することも

意外に思われますが、コーヒーの味はマシンよりもグラインダー(豆を挽く機械)の影響が大きいと言われます。挽き目が均一でないと、抽出ムラが出て味が安定しません。エスプレッソマシンに予算を割いたなら、グラインダーも相応のものを選ぶとバランスが取れます。

業務用のフラットバー式グラインダーで約3万〜10万円。挽き目の微調整ができるモデルを選ぶと、開業後のメニュー調整がしやすくなります。

⑤ 食器洗浄機|「人件費」と「回転率」への投資

「手洗いでいいのでは」と省略されがちですが、ピーク時に食器が回らないと、席が空いていてもお客様を案内できません。アンダーカウンタータイプ(台下に収まる小型)なら省スペースで導入でき、約15万〜30万円が目安です。ワンオペや少人数で回す店ほど、投資効果が高い機器です。



新品・中古・リース|どれを選ぶべきか

初期費用を抑えたい開業者にとって、これは最も悩ましい判断です。それぞれの向き・不向きを整理します。

メリット デメリット 向いている人
新品 メーカー保証あり・故障リスク低・長く使える 初期費用が高い 長く営業する前提の人/製氷機・冷蔵庫など故障が致命的な機器
中古 初期費用を大きく圧縮できる 保証が弱い・寿命が読めない・当たり外れ 予算最優先/作業台・シンクなど壊れにくい機器
リース 初期費用ゼロに近い・経費計上しやすい 総支払額は割高・途中解約しにくい 開業時の手元資金を残したい人

プロのおすすめは「機器ごとに使い分ける」ことです。具体的には、故障が営業停止に直結する製氷機・冷蔵庫・コールドテーブルは新品で。一方、作業台・シンク・棚などの壊れにくい設備は中古でコストを抑える。このメリハリが、初期費用と安心のバランスを取る賢い方法です。



費用シミュレーション|10坪・15席の小規模カフェの例

では、具体的なモデルで総額を見てみましょう。「ドリンク+軽食・スイーツ」を提供する、10坪・15席のスタンダードなカフェを想定します(すべて新品・主要メーカーの実勢価格ベース)。

機器 想定スペック 価格目安
コールドテーブル 幅1200mm 冷蔵 180,000円
製氷機 日産35kg アンダーカウンター 260,000円
エスプレッソマシン 業務用 半自動 200,000円
コーヒーグラインダー 業務用 フラットバー 60,000円
食器洗浄機 アンダーカウンター 200,000円
作業台・シンク類 一式 80,000円
冷蔵ショーケース スイーツ陳列用 120,000円
合計(目安) 約110万円

これはあくまで一例です。中古を組み合わせれば70万〜80万円台に、エスプレッソマシンを全自動にすれば130万円超に、と構成次第で大きく変わります。

「自分のお店だと、どの構成でいくらになるのか」をもっと具体的に知りたい方は、当サイトの厨房機器シミュレーターをお試しください。業態と規模を選ぶだけで、必要な機器と概算費用の目安が分かります。



まとめ|カフェの厨房は「メリハリ」で決まる

カフェ開業の厨房機器選びで大切なのは、次の3点です。

  • 能力選定を妥協しない:特に製氷機は「ワンサイズ上」が鉄則。氷切れは機会損失に直結します。
  • 動線を意識する:コールドテーブルの幅・奥行は、図面上で通路を確認してから決める。
  • 新品と中古を使い分ける:故障が致命的な機器は新品、壊れにくい設備は中古でコスト圧縮。

厨房は「安くそろえる」ことより「ムダなく、長く使えるようにそろえる」ことが、結局いちばんの節約になります。この記事が、あなたのカフェづくりの第一歩になれば幸いです。